公的年金受給は損得で考えると損する

年金はそもそも貯金ではなく保険

以前、自動車保険の更新に来たお客様との話の中で年金は損するかもしれないから、早く受け取りたいという方いました。例えば、70歳までしか生きられなかったら、自分がこれまで払った年金保険料の元が取れないということが損だというのです。しかし、年金は本当に損得で考えるべきでしょうか。そもそも年金は老後のための貯金ではなく、保険です。①長生きした時のリスク、②ケガなどで働けなくなった時のリスク、③亡くなってしまった時のリスクに対する保険です。今回は①のリスクについてお話しします。我々は老後働けなくなった後、いつまで生きるか分かりません。人によっては70歳まで生きるかもしれないですし、100歳まで生きるかもしれません。そのため、65歳以降毎月20万生活費がかかると仮定すると、老後に必要なお金は1200万で済むかもしれませんし、8400万かかるかもしれません。そんないくらかかるか分からないお金を自分で用意するのは大変なので、予想以上に長生きした時でも、ある程度のお金を保障するというのが公的年金保険です。

年金受給の受け取り時期は損得で考えない

これを損得で考えて早めに受け取ると以下のようなことが起こりえます。Aさんは1440万の貯金があり、年金受給を繰り上げて60歳から毎月14万受給(=65歳から受給額20万×70%)したとします。だいたい15年ぐらい受給すれば、自分が払った年金保険料よりも多くもらえるので、これで元は取れたかもしれません。しかし、支出が毎月20万だとすると、毎月貯金を6万取り崩していき、80歳で貯金も底をつきます。その後は楽しみを減らしたり、こまめに節約したりして毎月14万で生活し、いつまで生きるか分からず暮らしていくのを想像するとぞっとします。それであれば、65歳から年金20万を受給して毎月20万円使っても貯金は減らない、運よく100歳まで生きても同じように過ごせるような受け取り方のほうが安心できるのではないでしょうか。年金は自分の老後の生活においてかかる費用の一部を生きている限り保障してくれる保険です。そのため、受け取り方は損得ではなく、自分が長生きした時でもお金に困らないような受け取り方をしたほうがいいのではないでしょうか。